引っ越しは、飼い主にとっては新しい生活の始まりですが、猫にとっては「縄張りの崩壊」を意味し、極度のストレスを伴う最大の試練です。猫は環境の変化に非常に敏感な動物であり、適切な準備なしに引っ越しを行うと、体調不良や問題行動(粗相、食欲不振など)を引き起こす可能性があります。特に引っ越し当日の騒音と人の出入りは、猫にとって大きなトラウマになりかねません。
この1年で引っ越しを2回してしまった猫おばさん💦もちとくもは4年で3回引っ越しをした引っ越しのプロ猫となってしまいました。今回は、この経験を活かし、猫様のストレスを最小限に抑え、安全に移動するための「引っ越し前の準備」「最適な移動手段の選び方」、そして「当日の隔離方法」について徹底解説します。
引っ越し前の準備:ストレス軽減のための3つのステップ
引っ越しが決定したら、すぐに以下の準備を始めましょう。これは、移動中のパニックを防ぐための最も重要なフェーズです。
キャリー(移動用ケージ)に慣れさせる訓練
猫にとってキャリーは「病院に連れて行かれる怖い箱」という認識になりがちです。このネガティブなイメージを払拭することが、移動ストレス軽減の鍵です。
日常使いにする: 引っ越しの数週間前から、キャリーを部屋に出しっぱなしにし、中に猫のお気に入りの毛布やおやつを入れて、**「安全で快適な隠れ家」**として認識させます。入口を開放し、自由に出入りできるようにしましょう。
短時間の慣らし訓練: 慣れてきたら、猫を中に入れてドアを閉め、家の中を短時間持ち運ぶ練習を繰り返し、キャリー内で動くことに慣れさせます。この際、優しく声をかけ、報酬(おやつ)を与えることで、「キャリー=良いこと」と結びつけます。
獣医師への相談と健康チェック
健康診断: 引っ越しの約1週間前に、一度獣医師の診察を受け、体調に問題がないか確認します。特に長距離移動や飛行機利用の場合は、健康証明書が必要になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
鎮静剤の相談: 極度のパニックや乗り物酔いが予想される場合は、獣医師に相談し、軽度の鎮静作用のある薬や酔い止めの使用を検討します。不安対策として、栄養補助食品やサプリメントの活用についてもアドバイスをもらいましょう。
逃走対策としての情報更新と備え
迷子札・マイクロチップ: 万が一、移動中や新居到着直後に脱走した場合に備え、マイクロチップの情報(新住所、新しい連絡先)を最新のものに更新します。首輪に新しい連絡先を記載した迷子札をつけることも重要です。首輪が抜けないか事前に確認しておきましょう。
移動手段の選択と注意点
猫の移動方法には、自家用車と公共交通機関の二つの選択肢があり、それぞれにリスクと注意点があります。
自家用車(マイカー)での移動
自家用車は、猫にとって最もストレスが少ない移動手段です。見知らぬ人や動物との接触がなく、環境の変化も最小限に抑えられます。
キャリーの固定: 安全のため、キャリーは急ブレーキなどで動かないよう、必ず座席にシートベルトでしっかりと固定するか、床に滑り止めを敷いて固定します。猫が外を見すぎないよう、キャリーの目隠し(薄い布)を用意しておくと落ち着きやすいです。
温度管理: 猫は暑さに弱いため、車内の温度管理(エアコンの使用)を徹底し、キャリーに直射日光が当たらないように配慮します。夏場や冬場の車内放置は絶対に厳禁です。
休憩時の注意: 休憩のために車から離れる際は、窓が閉まっていること、ドアが施錠されていることを必ず確認します。長時間の移動でも、排泄や食事は車内で行い、キャリーから猫を出すのは厳禁です。
公共交通機関(新幹線・飛行機など)
公共交通機関を利用する場合、猫は周囲の騒音や人々の視線から強いストレスを受けます。
事前予約と規定確認: 新幹線や飛行機を利用する場合、事前の予約と「小動物の持ち込み規定」の確認が必須です。特に頭数制限やキャリーのサイズ、持ち込み料を厳守し、規定外の持ち込みは絶対に避けましょう。
新幹線・電車: 基本的に手荷物としての持ち込みとなり、キャリーから猫を出すことは厳禁です。鳴き声対策としてキャリーに厚手の布をかけて目隠しをし、できるだけ人の少ない車両やデッキ付近を選びます。
飛行機: ほとんどの場合、猫は貨物室での移動となり、極度のストレスがかかります。航空会社によってはペットの体調を考慮し受け付けを拒否する場合もあるため、最新の規定を細部まで確認し、可能な限り避けるか、代替手段を検討すべきです。
スケジュールと当日
引っ越し当日の作業は、猫のトラウマにならないよう、徹底的に猫を隔離することが重要です。
引っ越し作業員が出入りする際の隔離
セーフルームの確保: 引っ越し作業員が出入りする際は、絶対に猫を隔離してください。旧居の静かで安全な一部屋(寝室など)に、食事、水、トイレを用意して閉じ込め、「移動は作業完了後」を基本とします。
隔離部屋の最終搬出: 隔離した部屋の荷物は、全ての引っ越し作業が終わった後、最後に搬出します。猫をキャリーに入れ、部屋から出す前に、作業員が全員退出したこと、窓やドアが完全に閉まっていることを必ず確認しましょう。
アイキャッチの画像、お引越しの荷入れの時に、もちくもを洗面室に避難させたのですが、洗面台に隠れてました。ストレスマックスの顔ですね。
長距離移動の場合はペットホテルも考える
利用の判断: 引っ越しの距離が長く移動に時間がかかる場合や、新居の準備が間に合わない場合は、一時的な預け先を検討します。
メリット: 猫を新居への荷入れや片付けが完了し、落ち着いたタイミングで迎え入れることができます。信頼できる猫専用のペットホテルや、自宅に近い環境を提供してくれるシッターサービスを選びましょう。
3回の引っ越しのうち2回で荷出し当日の荷入れができず、ペットホテルを利用しました。最初ペットホテルを利用した時は二度と使うものか!というほどの環境でした。そのホテルはトリミング等を行っているペットホテルで、ワンちゃんの利用が多い所でした。勿論猫もOKなのでそれなりの配慮はしている施設でしたが、まずお店に入って獣臭がすごく、犬の吠える声が響き渡る環境でした。案の定、もちくもは全くご飯も食べず、トイレも出来なかったと記憶してます。本当にごめんね、ごめんね、と謝りました。もちは便秘になっちゃいました。なので二度と使うものか!と思ったのですが、直近の引っ越しではホテルを使わざるを得ない長距離の引っ越しで、猫専用のペットホテルを探しお願いしました。私の宿泊費よりも高いという(笑)ホテルでしたが、カメラで様子がみえるし、ご飯やトイレも持ち込めて、小部屋くらいの広さで、窓もあって、窓の外を眺めたりして寛げたようです。ご飯もトイレも出来て、お値段分安心してお任せできました。ですので、しっかりとリサーチをして選んでくださいね。
まとめ
猫の引っ越しは、「事前の準備」が成功の秘訣です。キャリーに慣れさせ、適切な移動手段を選び、当日は作業から完全に隔離することで、猫への負担は大きく軽減されます。特に、新居への荷入れが完了し、静かになった後に猫を迎え入れるのが、ストレスを最小限に抑える最良の方法です。次の記事では、新居に迎え入れた後の「環境整備と脱走防止」について詳しく解説しますね。


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