愛ゆえの悲劇?『保護猫活動家』と『アニマルホーダー』の境界線とチェックリスト

冒険の心得

猫の命を救うために尽力する保護猫活動は、尊い活動です。しかし、その献身的な「愛」と「責任感」が、時に暴走し、自身を、そして猫様たちを窮地に追い込む「多頭飼育崩壊(アニマルホーディング)」につながってしまうケースがあるのもまた事実です。

「自分が救わなければ、この子は死んでしまう」。その強い使命感が、いつの間にか客観的な判断力を失わせ、「献身的な活動家」と「アニマルホーダー」の境界線を曖昧にしてしまうのです。

少しデリケートな問題ですが、私がモヤモヤしているこの話題についてまとめてみたいと思います。このブログの最初のほうの記事にも書いたと思うのですが、自身がハッピーで居られなければ、お世話はできないと思うんですよね。使命感を持ってお世話をするのは良いのですが、自身や自身の周りを犠牲にする保護活動は、誰も幸せではない(お世話される猫様も)と思うんですよね…。

なぜ、献身的な活動家が『ホーディング』に陥るのか

アニマルホーディングは、単なる「飼育数の多さ」ではなく、「適切な世話ができないのに、動物の数を増やし続ける病的な行為」を指します。保護活動に熱心な人がこの状態に陥ってしまう背景には、特有の心理が働いています。

「救済者」としての責任感の暴走

保護活動を始める人の多くは、非常に高い共感能力と使命感を持っています。しかし、「目の前の命を断れない」「自分が手放したらこの子は不幸になる」という責任感が過剰になると、自分のキャパシティを超える救済を止められなくなります。自分の環境が悪化しても、「猫を救うためなら」と自己犠牲を正当化し、猫の数を増やし続けます。

外部からの孤立と自己肯定感の依存

活動が長期化し、ボランティア仲間や信頼できる人からの客観的な意見を聞かなくなり、孤立してしまうと危険信号です。猫様の世話をすることが、唯一の自己肯定感や存在価値の源になってしまうと、猫を手放すことが「自分の失敗」「自分の価値の喪失」と感じられ、問題に気づきながらも外部からの援助を拒否するようになります。

「シェルターとしての機能」の破綻

預かりボランティアとして始めたはずが、「この子たちの里親は私しかいない」という歪んだ愛情に変わり、最終的に猫を手放すことができなくなります。こうなると、一時的な預かり場所であるはずの家が機能不全に陥り、適切な衛生管理や医療ケアが提供できなくなってしまいます。

あなたの活動は大丈夫?アニマルホーダーのチェックリスト

ご自身の活動や、周囲の活動家が健全な範囲にあるかを客観的に見つめることは、多頭飼育崩壊を防ぐ第一歩です。以下の項目で「はい」が多いほど、アニマルホーディングの傾向が強い可能性があります。

1. 頭数管理の破綻:飼育している猫の正確な頭数(預かり含む)を、すぐに答えられない。
2. 環境衛生の無視:家の悪臭が自分では気にならない、または排泄物やゴミの清掃に手が回っていない状態が続いている。
3. 医療の不履行:全ての猫に、避妊去勢手術、ワクチン接種、定期的な健康診断を受けさせていない。
4. 財政の破綻:猫の医療費や餌代のために、自分の生活費(食費、光熱費、家賃など)や借金に手を付けている。
5. 現実の否認: 猫が病気や不潔な環境にいることに気づいていながら、「愛情があれば大丈夫」「この子の個性だ」と問題から目を逸らす。
6. 援助の拒否:行政や他の保護団体からのアドバイス、または「頭数を減らすべき」という客観的な意見を強く拒否する。
7. 記録の欠如:個々の猫の正確な医療履歴(いつ、どの病院で、何の治療をしたか)や性格、里親探しの状況を記録・管理できていない。
8. 強い独占欲:どの猫に対しても、「里親に出すよりも自分で飼った方が幸せ」と強く思い込んでいる。

【解説】

ホーディングの本質は、猫様の「福祉」よりも、自分の「感情」を優先させてしまう点にあります。上記チェックリストは、客観的な「福祉」の基準(医療、衛生、管理)が破綻しているかを見ています。特に「医療・衛生の不足」や「援助の拒否」は、猫様の命に関わる重篤なサインです。

線引きを失わないために必要なこと

保護活動家がホーディングに陥らないために、最も重要なのは「客観性」と「連携」です。

自分の「キャパシティ」を明確にする

自分の経済力、時間、体力、そして家の物理的なスペースを冷静に見積もり、飼育可能な頭数の上限を厳格に決めましょう。この基準は、自分の感情とは切り離して、論理的に判断することが大切です。少しでも限界に近づいたら、新しい命の保護や預かりを断る勇気を持ちましょう。

これが見えていない方や団体を見たことがあります。客観視できない、これはまさに自分の状態がハッピーではない状態だと思うんですよね。自分以外の物や人を自分の存在意義を証明することに利用している、依存の状態だと思うんですよね。

記録による客観視

全ての猫について、健康状態、医療履歴、体重、性格、里親探しの状況を記録に残しましょう。記録をつけることで、「あの猫は元気だ」という主観ではなく、「〇〇は前回から体重が減っている」「ワクチンが切れている」という事実に基づいて判断できます。

孤立せず、専門家の意見を取り入れる

問題の初期段階で気づくために、信頼できる獣医師や他の健全な保護団体と連携を取りましょう。定期的に自宅の状況や猫の健康状態について客観的な意見を求めることで、自分の判断が偏っていないかをチェックできます。

「救うこと」の定義を見直す

保護活動の最終目標は、「自分の手元に置くこと」ではなく、「猫様が最大限に幸せになる環境を提供すること」です。自分のキャパシティを超えた環境で飼い続けるよりも、適切なケアと愛情を提供できる里親に託すことこそが、最も尊い「救済」であると再認識しましょう。

まとめ

保護猫活動とアニマルホーディングは、紙一重の境界線上にあります。それは、献身的な愛情と、病的な自己満足の境界線です。

保護活動されている方を批判しているわけではなく、自身のキャパシティーを超えた活動は、誰もハッピーにはならない、猫様もハッピーではないんだと思うんです。猫様のための活動なので、是非みんながハッピーになるように出来たら良いなと思います。

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