猫はどの飲み方が一番「一口の量」が多いのか?—猫の“ラッピング飲み”の仕組みから徹底解説

猫様情報

あなたの猫はお水を「たくさん」飲めていますか?
猫様が水をたくさん飲む猫の姿を見ると安心しますが、「うちの子、あまり水を飲んでくれないな」と不安に感じる方も多いでしょう。

猫は、水を飲む容器の形や水面の安定性によって「一口で飲める水の量」が大きく変わることが分かっています。蛇口から飲む子、浅いお皿でペロペロする子、深めのボウルに顔を突っ込む子…それぞれの飲み方で、本当に効率よく水分を補給できているのでしょうか?

お水をいかに飲ませるかという問題は、特に慢性的な脱水や腎臓病のリスクを抱える猫の健康維持において、非常に重要なテーマです。

今回は、猫の特殊な飲み方「ラッピング飲み」の仕組みを紐解きながら、蛇口、浅皿、深ボウルの中でどれが最も効率よく水分を摂取できるのかを解説します。
ちなみに、もちの水飲みの新技術をご覧いただけます↓

1. 高速で水柱を作る「ラッピング飲み」の仕組み

犬が舌をスプーンのように丸めて水をすくい上げるのに対し、猫の飲み方は非常に特殊で、「ラッピング飲み(Lapping)」と呼ばれています。これは非常に巧妙な給水方法です。

1.1. ラッピング飲みの一連の流れ

猫が水を飲む際の動作は、以下の4ステップで構成されており、この一連の流れが1秒間に3〜4回という高速で行われます。

舌の先端を水面に軽く接触させる: 舌を深く水に突っ込むのではなく、ごく浅く水面に触れさせます。

舌を高速で上に引き上げる: 接触させた舌を、重力加速度よりも速いスピード(約1m/s)で垂直に引き上げます。

水柱(水のフィラメント)ができる: 舌が水面から離れる瞬間、水の表面張力が破れる前に、舌の動きに引っ張られて水柱(水の塊)が形成されます。

水柱の上部を顎でキャッチ: 猫は水柱が重力で崩れ落ちる直前に、顎を閉じる動作によって、水柱の上部を口に取り込みます。

この仕組みから理解できる最も重要なポイントは、「猫は舌で水をすくっているのではなく、作られた水柱の水を摂取している」という点です。したがって、一口で飲める水の量は、「舌がどれほど深く水に入るか」ではなく、「作られる水柱の太さと安定性」に直結します。

2. 容器の形状別:一口の量が少ない飲み方

猫のラッピング飲みを最大限に活かせない、非効率な飲み方をしているケースを見ていきましょう。

2.1. 浅い皿で飲む場合の問題点:「水柱が細く、ヒゲストレスも」

浅い皿や平たいトレイは、一見飲みやすそうに見えますが、実は効率が良くありません。

水柱が細く不安定: 浅い容器では水面が低いため、水面が揺れやすく、猫が安定した水柱を作ることが難しくなります。結果として、一口で口に取り込める水の量が少なくなりがちです。

ヒゲストレスの発生: 猫のヒゲは非常に敏感なセンサーです。浅皿で飲む際、ヒゲが器の縁や水面に触れると不快感(ヒゲストレス)を感じます。これを避けるために、猫は無理な姿勢で飲んだり、途中で飲むのをやめてしまう傾向があります。

2.2. 蛇口から飲む場合の問題点:「見た目と実態、そしてロス」

蛇口から流れる水を飲む猫の姿は可愛いですが、多くの場合、見た目ほどたくさん飲めているわけではありません。

水柱の乱れと不安定さ: 家庭の蛇口から落ちる水は、水の量が少なく、また落下することで水柱が乱れやすい状態にあります。猫は舌で水を引っ張り上げて水柱を作るわけですが、この水柱が不安定だと、顎でキャッチできる水の量が減ってしまいます。

キャッチの難しさによるロス: 落下する水は、猫の舌のスピードと水の落ちるタイミングを正確に合わせるのが難しくなります。このため、口の周りから水がこぼれてしまう量が多くなり、実際に摂取できている水分量がさらに少なくなってしまうというロスが発生しがちです。

蛇口を好む猫は、流れる水に「新鮮さ」や「好奇心」を感じていますが、飲水量の確保という点では、非効率な飲み方の一つとなり得ます。

3. 最も効率的な選択肢:深めのボウル(コップ型)の優位性

では、猫が最も効率よく、多くの水を一口で飲める容器はどれでしょうか。それは、深さがあるボウルやコップ型の容器です。

3.1. 深ボウルがラッピング飲みを最適化する理由

深めの容器が優れている理由は、ラッピング飲みに必要な物理条件を最も満たしやすいからです。

水面が安定している: 深い容器では、猫が飲む動作による水面の揺れが浅い皿に比べて少なく、舌を挿入する際の水面の安定性が保たれます。

太い水柱が作れる: 安定した水面から舌を高速で引き上げることで、より太く、崩れにくい水柱を作りやすくなります。太い水柱は、必然的に一口で口に入る水の量が増えることを意味します。

ヒゲストレスの回避: 口径が猫の頭よりもやや狭い、あるいは垂直な形状の容器であれば、飲む際にヒゲが器の縁に当たりにくく、ストレスを感じずに顔を突っ込んで飲むことができます。

この事実は、単なる経験則ではなく、獣医師や猫の栄養学を専門とする研究者の間でも、飲水量を増やすための基本的なアドバイスとして支持されています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。猫の「ラッピング飲み」の仕組みを最も活かし一口で多く飲めるのは「深めのボウルやコップ型の容器」です。効率よく飲める方法でありますが、水飲み場の環境やお水の新鮮さ(清潔さ)も重要な要素ですので、どうしてあげると猫様がたくさんお水を飲んでくれるのか、観察と工夫の繰り返しで、ベストな水飲み場を準備してあげてくださいね。しかし、もちの新技はなかなか理にかなった方法ということがわかりました(笑)でも、飲みたい時に呼ばれるのはなかなか大変ですけどね💦

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