猫様が心から喜ぶ部屋づくりシリーズ、猫様にとってストレスフリーな環境をシリーズ1、シリーズ2、シリーズ3とお伝えしてきました。今回は年を重ねたシニア猫様に特化した内容です。
我が家のもち、くもはまだまだシニアではありませんが、いつかはシニアになります。昨日まで軽々とキャットタワーの最上階に飛び乗っていたのに、少し躊躇したり、段差で足を踏み外したり。そんな些細な変化は、猫様からの「住まいのアップデート」を求めるサインです。ま、歳をとってなくても、もちは足を踏み外すことはあるんですけどね(笑)
現役のインテリアデザイナーとして、そして一人の猫飼いとして、今回はシニア猫の生活の質(QOL)を最大化する住環境について、徹底的に深掘りします。
シニア猫の定義
猫が「シニア(高齢)」と呼ばれるのは、一般的に7歳から10歳を過ぎたあたりからです。
7歳〜10歳(シニア入り口): 人間で言うところの40代後半〜50代。見た目は若々しくても代謝が落ち、睡眠時間が増え始めます。
11歳〜14歳(高齢期): 身体能力の低下が顕著になり、多くの猫が何らかの関節炎を抱え始めます。
15歳以上(超高齢期): 視力や聴力の衰え、認知機能の変化も見られるようになります。
若い猫とシニア猫の快適な住環境の違い
若い猫とシニア猫では、部屋の使い方が根本的に異なります。この違いを理解することが、適切なバリアフリーへの第一歩です。
若い猫のキーワード:垂直・刺激・広域
若い時期は「高い場所」こそが安全地帯であり、最大の娯楽です。キャットタワーの最上階やカーテンレールの上など、上下運動が筋肉を維持し、精神的な満足感を与えます。多少滑りやすい床でも筋力でカバーでき、食事やトイレの場所が離れていても「動線」そのものが運動になります。
高齢猫のキーワード:水平・安定・集約
シニア期に入ると、関節の節々に痛みを感じやすくなるため、ジャンプの衝撃が大きな負担となります。これまで楽しんでいた高所は、一度登ったら降りるのが怖い「行き止まり」へと変わります。また、体温調節機能が落ちるため、広すぎる空間よりも「手の届く範囲に必要なものが揃っている安心感」が重要になります。
3つの具体的バリアフリー戦略
インテリアデザイナーの知見から、シニア猫が最期まで自分の足で暮らすための設計ポイントを解説します。
① 「滑る床」という見えない刃の排除
シニア猫にとって、一般的なフローリングは常に氷の上を歩いているようなものです。踏ん張りがきかないと、足の付け根(股関節)や腰を痛め、歩くこと自体を諦めてしまいます。
解決策: 生活動線(寝床からトイレ、食事場所)に、グリップ力の高いカーペット等を敷設してください。
工夫: 大判のラグではなく、汚れた部分だけ洗えるタイルカーペットを選びます。厚みがあるものを選べば、飛び降りた際の衝撃吸収材としても機能します。
我が家はタイルカーペットを既に敷いています。シニア期に限らず、走り回る子にとっては滑る床は股関節を痛めてしまう原因になります。防音対策にもなるので、おすすめですよ。
② 「ジャンプ」から「ステップ」への緩やかな移行
お気に入りの窓辺やソファ。そこへ至る「段差」を15cm以下に抑える工夫が必要です。
解決策: 家具の前に、安定感のある踏み台(ステップ)やスロープを設置します。
工夫: 登る時だけでなく、「降りる時」の視界を確保してあげることが重要です。ステップの表面には必ず布やコルクを貼り、爪がしっかりかかるようにします。
キャットタワーもマンチカンのような足が短い猫様用のものもありますので、そのようなステップの間隔が狭いタワーを選んであげても良いですね。
③ トイレの「入り口」を限界まで低く
若い頃は問題なかった「トイレの壁」が、関節炎の猫には高い障壁になります。
解決策: 入り口が5cm〜8cm程度の低床型トイレに変更します。
工夫: 老年期はトイレに間に合わなくなることもあるため、トイレを寝床のすぐ近くに「増設」し、移動距離を短縮します。
低床型に変えなくても、一段ステップを置いてあげるだけでも有効ですよ。
衰えを補う
シニア猫になると光を取り込みにくくなったり、光を感じる感度が鈍くなるなど、視力も落ちてきます。若い頃には見えていた「わずかな光(星明かり程度)」では、視界が確保できなくなってきます。夜、暗闇での移動のことを考えて、トイレまでの動線が見えるよう、常夜灯をつけたりすると良いですね。
まとめ
今まで大丈夫だった住まいが、加齢とともに安心できない住まいになってしまっている。シニア猫ちゃんの居るお宅は、一度危険がないか見直してあげてください。どんな猫様もいつかはシニアになります。その時に彼らが「この家が世界で一番安心だね」と思ってくれるよう、今から少しずつ、住まいを整えていきましょう。

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