「かわいそうだから助ける」だけじゃない。イギリスの猫チャリティーに学ぶこと

ねこニュース

猫好きが集まって街を歩き、地域の猫たちに会いに行く。そんなユニークなチャリティーイベントが、イギリス南部のブライトンで開催されます。

BBCが報じた「Brighton Cat Tour」は、約3kmの道のりを歩きながら、地域で暮らす猫たちに会いに行くイベントです。参加による収益は、地元の動物保護施設への支援につながります。猫に会いに行くことが、猫を助ける活動につながる。パンク風の猫のロゴやポスターも印象的です。保護活動への寄付を呼びかけるだけでなく、猫好きが思わず参加したくなるような企画になっています。

猫に会いに行く3kmのチャリティーウォーク

Brighton Cat Tourでは、参加者がガイドとともに市内を約3km歩き、飼い主が訪問を承諾した家庭を巡ります。主催者は、当日およそ25匹の猫に会えると見込んでいます。道中で予定外の猫に出会う「ボーナス猫」の可能性もあるそうです。訪問先は、飼い主が自分の猫を参加者に紹介することに同意した家庭です。街を歩きながら野良猫を探すイベントではありません。猫たちの生活への配慮も忘れていません。参加者には歩きやすい服装や飲み物などの持参が勧められていますが、猫のフードを持ち込むことは禁止されています。猫に食べ物を与える場合も、飼い主の許可を得て、飼い主が用意したフードを使うよう案内されています。猫好きにとっては、いろいろな猫に会えるだけでも魅力的なイベントです。それが動物保護活動への支援にもなるのですから、参加する楽しみと社会貢献がうまく結びついています。

TikTokで広がった猫好きの輪

このイベントは今回が初めてではありません。前年の開催では約200人が参加しました。イベントを紹介するTikTok動画は約10万回再生され、105軒の家庭から参加への関心が寄せられたそうです。企画のきっかけになったのは、2024年にカナダのトロントで話題になった猫ツアー。ブライトンでの開催では、Coldeanにある動物保護施設「City Cat Shelter」への支援につなげています。注目したいのは、チャリティーへの参加を、寄付の呼びかけだけに頼っていないことです。猫に会いたい。猫好きの人たちと街を歩いてみたい。そんな気持ちが参加のきっかけになり、その先に動物保護活動への支援があります。参加者にとっては楽しいイベントであり、保護施設にとっては活動を知ってもらう機会にもなります。猫好きが楽しめる企画を通じて、地域の人たちと保護活動をつないでいるところが、このイベントの面白さです。

イギリスと日本、猫との暮らし方の違い

イギリスと日本の猫文化を考えるとき、興味深いのが猫の屋外へのアクセスに対する考え方の違いです。イギリスでは、猫が外を自由に歩き回ることを自然な行動として尊重する考え方があり、猫が外に出る自由を大切にする飼い主もいます。猫が家の中だけで暮らすことを前提とするのではなく、屋外での探索や行動も猫らしい暮らしの一部として捉える考え方です。

一方、日本では交通事故や感染症、迷子などのリスクから猫を守るため、完全室内飼育が広く推奨されています。猫を安全な環境で飼育することが、飼い主の責任として重視されています。もちろん、イギリスでも室内飼育を選ぶ家庭はありますし、日本でも猫の行動の自由を大切にする飼い主はいます。ただ、猫をどのような環境で暮らさせるかという問題には、それぞれの国の生活環境や動物観が反映されています。

こうした違いを背景にすると、ブライトンのCat Tourもまた違った視点で見えてきます。飼い主の協力を得て家庭で暮らす猫たちを訪ね、地域の人たちが猫との出会いを楽しむ。猫を通じて人がつながり、その楽しみが動物保護活動への支援にもつながっています。猫との暮らし方は違っても、猫を愛する気持ちを地域の活動につなげる方法には、日本でも参考にできる部分がありそうです。

猫チャリティーを、もっと楽しく、かっこよく

今回のイベントでもうひとつ目を引くのが、パンク風の猫のロゴやポスターです。猫の保護活動というと、保護された猫たちの境遇や、施設が抱える問題を伝えることが中心になりがちです。もちろん、現状を知ってもらうことは大切ですし、寄付や譲渡につなげるためにも欠かせません。ただ、動物福祉に関心がある人以外にも活動を知ってもらうには、別の入口があってもよいのではないでしょうか。例えば、猫好きが集まる街歩きイベントなら、まずは「猫に会いたい」「楽しそうだから参加してみたい」という気持ちから入れます。そこで保護施設の存在を知り、活動に興味を持ったり、次の支援につながったりする可能性も生まれます。チャリティーを支援する側と支援される側に分けて考えるのではなく、みんなが楽しめるイベントとしてデザインする。告知のビジュアルも含めて、参加したくなる雰囲気をつくっている点は参考になります。日本にも工夫を凝らした保護猫イベントや、デザイン性の高いチャリティー企画はあります。それでも、猫のための活動を「大変そう」「かわいそう」というイメージだけにとどめず、「楽しそう」「参加してみたい」と思えるものにしていくことは、支援の輪を広げるうえで大切な視点ではないでしょうか。

まとめ

猫を助ける活動には、寄付や譲渡だけでなく、猫好きが楽しみながら参加できるイベントという方法もあります。ブライトンのCat Tourのように、猫への愛情を人と人とのつながりに変え、保護活動への支援につなげる。日本でも、そんな発想から生まれるチャリティーがもっと増えていくといいですね。

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