消防署を悩ませた1週間にわたる「謎の警報」

ねこニュース

イギリスのウスターシャー州テンベリー・ウェルズにある消防署で起きた、少し騒がしくも心温まる再会劇。行方不明の猫がなぜ消防署に潜り込み、どのようにして発見されたのか。BBCニュースです。

消防署を困惑させた「深夜の誤作動」

事件の舞台となったのは、ヘレフォード・アンド・ウスター消防救助局のテンベリー・ウェルズ消防署です。ある時期から、この消防署では夜間になると不自然に火災報知器や警報システムが作動するという、奇妙な事態が続いていました。

現場のプロフェッショナルである消防士たちが、署内の隅々まで点検を行っても、火の気もなければ機器の故障も見当たりません。原因不明のまま1週間にわたって繰り返される「偽の警報(False Alarms)」に、現場の隊員たちは頭を抱えていました。

ウォッチ・コマンダー(当直司令)のイアン・ボウケット氏は、当時の困惑をこう振り返ります。 「何がアラームを起動させているのか、我々にはさっぱり見当がつきませんでした。機械的なトラブルを疑い、あらゆる可能性を検証していたのです」

犯人は「窓辺」に現れた

事態が急展開を迎えたのは、警報が鳴り始めてから1週間が経過した頃でした。署内の窓際に、音もなく佇む1匹の猫の影が発見されたのです。

隊員たちが慎重に捜索を開始したところ、署内にある業務用の「洗濯機」の背後に、小さな隙間に身を潜めていた猫を発見しました。彼女こそが、深夜に署内を歩き回り、警報を鳴らし続けていた「犯人」でした。

猫の名前は「ポーシャ」。彼女がなぜここにいたのかを調べると、驚きの事実が判明しました。ポーシャは8月24日から行方不明になっており、ちょうど彼女がいなくなった時期と、消防署で警報の誤作動が始まった時期が一致していたのです。

5マイルの放浪と、奇跡の帰還

ポーシャの飼い主であるルースさんとデイビッド・ポックネルさん夫妻にとって、この知らせはまさに「青天の霹靂」であり、最高の贈り物となりました。

ポーシャが行方不明になってからというもの、夫妻はSNSを通じて必死に情報を拡散し、地域住民の助けを借りて捜索を続けていました。しかし、1週間以上が経過し、手がかりも途絶えかけていたところへ、地元の消防署から「お宅の猫を確保した」という連絡が入ったのです。

ルースさんは、再会の喜びを次のように語っています。 「デイビッドと私は、消防署の皆さん、そしてSNSで情報を広めてくれたすべての方々に、言葉では言い尽くせないほど感謝しています。戻ってきたポーシャは、いなくなった時と全く変わらない様子で、本当に元気そうです」

なぜ「洗濯機の裏」だったのか?

猫が隠れ場所として洗濯機の裏を選ぶのは、動物行動学の観点からも理にかなっています。

狭さと安心感:猫は捕食者から身を守るため、背後を壁に囲まれた狭い場所を好みます。残留する熱:消防署の洗濯機は、隊員の制服などを頻繁に洗うために稼働しており、その廃熱で洗濯機の裏は常に適度な暖かさが保たれていました。
音への警戒:緊急出動のサイレンや人の出入りが激しい消防署の中で、ポーシャは最も静かで安全だと感じた場所で、家族に見つけてもらうのをじっと待っていたのかもしれません。

イアン・ボウケット司令は、「最終的に猫と飼い主を無事に再会させることができて、本当に幸せだ」と述べています。消防士の本分は「命を救うこと」ですが、今回は消火活動ではなく、一週間の執念深い(?)警報作動によって、一匹の小さな命が救い出されたのです。

まとめ

消防署の警報を1週間にわたって鳴らし続けた「犯人」ポーシャ。彼女が選んだ隠れ場所は、皮肉にも町で最も安全な場所の一つでした。消防士たちを困らせた深夜のアラームは、実は「ここにいるよ」というポーシャからの必死のメッセージだったのかもしれませんね。テンベリー・ウェルズの町に、再び静かな夜が戻ってきました。もちろん、今度は誤作動のない、本当の静寂です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました