イギリス最大の猫保護団体「Cats Protection」が主催する「ナショナル・キャット・アワード 2025」にて、ウェールズのポウイス州ランドリンドッド・ウェルズに住む茶トラ猫「フィズ(Fizz)」が、数千頭の候補の中から見事「ナショナル・キャット・オブ・ザ・イヤー(英国最優秀猫賞)」に選出されました。キャットオブザイヤーってなんだ?って感じもしますが(笑)地元で「フィズ・ワンダラー(放浪者フィズ)」の愛称で親しまれる彼は、町のあらゆる場所に現れ、バラバラになりがちな現代のコミュニティを繋ぎ止める役割を果たしています。
ソース BBC : Theatre-loving Fizz named UK’s cat of the year
応募のきっかけは「匿名ファン」による推薦
今回のフィズの受賞劇は、飼い主自身が応募したものではありませんでした。彼をノミネートしたのは、日頃から彼の姿を見守っていた「地元のファンの1人」による匿名での推薦がきっかけでした。
飼い主のブライオニー・ローダーさんは、ファンによって匿名でノミネートされたと語っています。これは、フィズが単なる個人のペットとしてではなく、町中の人々にとって「自分たちの猫」として深く愛されていることを象徴するエピソードです。数千頭の応募の中から頂点に輝いた背景には、こうした地域住民の熱烈な支持があったのです。
ランドリンドッド・ウェルズの「有名人」
フィズは、すでに地元ではセレブリティとしての地位を確立しています。彼の冒険を追いかけるオンライン上のフォロワーは2,300人を超え、町中の人々が彼の姿をカメラに収めては共有しています。
フィズが現れる場所は…
公共施設・商業施設:銀行、郵便局、ジョブセンター(職業安定所)、学校、図書館、スーパーマーケット。
イベント会場:ビンゴ大会や、イギリスのボウリング選手権。時には他人の結婚式にまで姿を現します。
地元の劇団:リハーサルに熱心に出席することから、今では劇団の「副監督」という役職まで与えられています。
ある時には、イギリスの有名番組『クラークソン農場』のケイレブ・クーパーが舞台上でパフォーマンスをしている最中に、堂々とステージを横切り、観客を沸かせたこともありました。
飼い主の葛藤から「町全体の猫」へ
飼い主のブライオニーさんにとって、フィズの冒険は当初、心休まらないものでした。フィズがネットワーク作りを始めたのは生後7ヶ月の頃。夜になっても帰ってこない彼を心配し、ブライオニーさんは当初「パニック状態」で居場所を探し回っていました。地元のFacebookグループに「フィズを見かけたら教えてほしい」と投稿したことをきっかけに、町全体がフィズを見守り、情報を共有し合う体制が出来上がっていきました。現在では、郵便配達員が手紙と一緒にフィズを車に乗せて自宅まで送り届けてくれることもあります。
「私は彼を心から愛していますが、同時に彼が私だけの猫ではないことも理解しています。彼は『町の猫』なのです」とブライオニーさんは語ります。現在、フィズが自宅に留まるのは食事と抱っこのためのわずか15分程度だと言いますが、彼女はフィズが人々に笑顔をもたらしていることを誇りに感じています。
「最も繋がりを感じさせる猫」への称賛
フィズは総合優勝だけでなく、著名な審査員パネルが選ぶ「最も繋がりを感じさせる猫(Most Connected Cat)」部門でも1位に輝きました。優勝賞品として、トロフィーと200ポンド(約4万円)のペットショップ商品券が贈られています。
選考を行ったCats Protectionのジェフ・ノット氏は次のように総括しています。 「デジタル時代においてコミュニティが断片化されがちな中、一匹の猫がもたらす安心感のある存在が、これほどまでの愛と喜びを生み出しているのを見るのは、非常に心温まることです」
【ワンポイント】イギリスと日本の「飼育文化」の違い
フィズのような放浪猫がこれほど受け入れられる背景には、イギリス独自の法的・文化的背景があります。イギリスでは伝統的に「猫には自由に徘徊する権利(Right to Roam)がある」と解釈されており、屋外を歩き回る猫を「管理不足」と見なされますから、こういう飼い猫が放浪して人々の心を繋ぐというような心温まるエピソードは、日本では起こりえないですね、残念ながら。
まとめ
フィズが英国一の猫に選ばれた最大の理由は、彼の愛くるしさだけでなく、彼が町にもたらした「喜び」と「結束力」にあります。一匹の猫が自由に町を歩き回り、行く先々で歓迎され、見守られる。一匹の猫をきっかけに住民が繋がり、笑顔が生まれる。飼い主ではなく、ファンに推薦されたという事実こそが、フィズと町の深い信頼関係を何よりも雄弁に物語っていますね。


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