海外の猫ニュースを見ていると、日本ではあまり聞かない猫にまつわる言葉に出会うことがあります。今回気になったのが、BBCで紹介されていた「Wobbly Cat Syndrome(ウォブリー・キャット・シンドローム)」です。
Wobblyには「ぐらぐらする」「よろよろする」といった意味があり、日本語にすると「ふらつき猫症候群」といったところでしょうか。かわいらしい呼び名にも聞こえますが、これは「小脳低形成(Cerebellar Hypoplasia/CH)」という神経学的な状態の猫を指す通称として使われています。日本では「ふらつき猫症候群」という呼び方はあまり耳にしませんが、小脳低形成そのものは知られているようです。今回は、この「Wobbly Cat」と呼ばれている猫たちについて調べてみました。
Wobbly Cat Syndromeとは?
小脳低形成は、脳の中で運動の調整やバランスなどを担う「小脳」が十分に発達しないことで起こります。そのため、歩こうとすると体が左右に揺れたり、足を高く上げて歩いたり、頭が震えたり、バランスを崩したりすることがあります。症状の程度には個体差があり、比較的自由に動ける猫もいれば、移動に大きなサポートが必要な猫もいます。
海外では、その特徴的な動きから「Wobbly Cat」「Wobbly Kitten」と呼ばれることがあります。日本では、こうした呼び方よりも「猫の小脳低形成」という名称のほうが一般的です。
なぜ小脳が十分に発達しないの?
猫の小脳低形成の代表的な原因として知られているのが、妊娠中の母猫が猫汎白血球減少症を引き起こす猫パルボウイルスに感染することです。胎児の小脳が発達している時期に影響を受けることで、小脳が十分に形成されないまま生まれてくることがあります。また、生後ごく早い時期の感染が関係する場合もあります。同じ母猫から生まれた子猫でも、すべての猫が同じ程度になるとは限らず、症状の重さにも違いがあります。
「ふらつく=どんどん悪くなる」ではない
小脳低形成について知っておきたいのが、基本的に進行性の病気ではないということです。歩き方がふらついていると、「これからもっと歩けなくなってしまうのでは?」と思うかもしれません。しかし、小脳低形成はすでに起きた発達上の問題によるもので、時間とともに小脳の状態が悪化していく病気ではありません。小脳そのものを正常な状態に戻す治療法はありませんが、成長しながら自分なりの体の動かし方を覚え、生活に適応していく猫もいます。適切な環境とサポートがあれば、充実した生活を送ることができる猫も多いとされています。
暮らしにはちょっとした工夫が必要
ふらつきがある猫の場合、普通の猫とまったく同じ住環境では生活しにくいことがあります。例えば滑りやすいフローリングより、ラグやカーペットなど足を踏ん張りやすい床のほうが移動しやすくなります。トイレは体を支えやすく倒れにくいもの、食器も簡単にひっくり返らない安定したものが向いています。ジャンプや着地が苦手な猫なら、高い場所へ移動するための段差やスロープを設けたり、落下しそうな場所にクッション性のあるものを敷いたりする工夫もできます。また、危険から素早く逃げることが難しいため、安全な室内で暮らせる環境を整えることも大切です。猫の状態に合わせて住まいを少し工夫することで、自分でできることを増やしてあげられるということですね。
ふらつく猫がすべて小脳低形成とは限らない
ここは注意しておきたいところです。
猫がふらついているからといって、すべて小脳低形成というわけではありません。猫のふらつきや運動失調には、ほかにもさまざまな原因があります。特に、それまで普通に歩いていた猫が突然ふらつき始めた場合は、「Wobbly Catかも」と自己判断せず、動物病院を受診する必要があります。小脳低形成の場合は、生まれつき小脳の発達が不十分なため、子猫が歩き始める頃から特徴的なふらつきが見られます。
「Wobbly Cat」という呼び方が伝えていること
今回「Wobbly Cat Syndrome」という言葉を知って印象的だったのは、病名だけではなく、猫の特徴そのものを表す呼び方が使われていることでした。ふらふら歩く姿を見ると、「かわいそう」「普通に暮らせないのでは」と思ってしまう人もいるかもしれません。でも、小脳低形成は基本的に進行するものではなく、猫自身が自分の体に合わせた動き方を覚えていくこともあります。もちろん症状の程度によって必要なサポートは違います。それでも、「ふらついている猫=ずっと苦しんでいる猫」とは限らないことは、もっと知られてもいいのではないでしょうか。
まとめ
海外の猫ニュースから知った「Wobbly Cat」という言葉。
「こういう猫たちもいるんだ」と知り、その特徴や必要なサポートについて理解することで、「障害があるから飼うのは難しい」と最初から選択肢から外すのではなく、「この子と暮らしてみたい」と思う人が少しでも増えたらいいなと思います。歩き方がほかの猫と違っていても、その猫なりに毎日の暮らしを楽しむことはできます。
Wobbly Catについて知ることが、障害をもった猫様たちにも新しい家族と出会うチャンスを広げるきっかけになればうれしいです。

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