猫が迷子になったとき、飼い主を特定する手段のひとつになるマイクロチップ。
日本でも2022年から、ペットショップやブリーダーなどが販売する犬猫へのマイクロチップ装着が義務化されました。一方、イングランドではさらに一歩進んで、2024年から原則としてすべての飼い猫へのマイクロチップ装着が義務化されています。ところが、そんなイングランドで「マイクロチップ未装着の猫が多すぎて手に負えない」というニュースをBBCで見つけました。
▶ BBC「Unchipped cat crisis ‘out of control’ in resort」
制度が進んでいるイギリスでも、現場では問題が起きているようです。
今回はBBCのニュースをもとに、イングランドで何が起きているのか、そして日本の制度との違いについて調べてみました。
BBCが報じた「未装着猫が多すぎる」という現状
BBCが取り上げたのは、イングランド北西部のブラックプールです。
地域で猫の保護活動をしている人たちによると、保護される猫の多くにマイクロチップが装着されていないといいます。地元の保護団体Blackpool Cats in Careでは、85匹の猫や子猫が新しい家族を待っており、共同設立者によると、保護する猫のほぼすべてがマイクロチップ未装着で、避妊・去勢もされていないそうです。マイクロチップがなければ、保護した猫に飼い主がいるのか確認することが難しくなります。さらに避妊・去勢されていない猫が外で繁殖すれば、所有者の分からない猫がさらに増えていく可能性があります。
現地の保護活動家は、こうした状況を「手に負えない」と訴えています。
イングランドでは飼い猫への装着が義務
では、なぜ義務化されているのに未装着の猫がこれほどいるのでしょうか。
イングランドでは2024年6月から、原則として飼い猫は生後20週までにマイクロチップを装着し、承認されたデータベースへ飼い主情報を登録する必要があります。違反が確認された場合は装着するよう求められ、それでも対応しなければ最大500ポンドの罰金が科される可能性があります。ところがBBCの記事では、保護活動家から法律が十分に執行されていないという指摘が出ています。
一方、ブラックプール市は、保護団体が未装着猫を発見しても自治体へ必ず報告される仕組みではないため、実態を正確に把握することが難しいと説明しています。法律はあっても、それを確認して運用する仕組みがなければ、必ずしも現場の問題解決にはつながらないということですね。
日本のマイクロチップ制度との違い
日本では2022年6月から、ブリーダーやペットショップなどの犬猫等販売業者に対して、販売する犬猫へのマイクロチップ装着が義務化されています。一方、すでに家庭で飼われている猫や、販売業者以外から譲り受けた猫などへの装着は努力義務です。
つまり、
- イングランド:原則すべての飼い猫に装着義務
- 日本:販売業者が扱う犬猫は義務、一般の飼い主は努力義務
という違いがあります。制度だけを見ると、イングランドのほうが一歩進んでいます。それでも未装着猫が数多く保護されているという今回のニュースは、日本にとっても興味深い事例ではないでしょうか。
「義務化すれば解決」ではなかった
マイクロチップは、迷子や災害時などに飼い主を確認するための有効な方法です。
ただ、今回のBBCの記事を読むと、義務化することと、実際にすべての猫へ装着されることは別問題なのだと分かります。さらに、マイクロチップは入れるだけでは十分ではありません。登録された住所や電話番号が古ければ、チップを読み取れても飼い主へ連絡できない可能性があります。(チップを入れていても再会率が低いという記事も良かったら読んでくださいね)今回のブラックプールの問題では、未避妊・未去勢の猫が多いことも指摘されています。つまり、所有者不明の猫を減らすには、マイクロチップだけではなく、登録情報の管理や避妊・去勢、適正飼育まで含めて考える必要があります。
マイクロチップのメリットやマイクロチップとはどういうものかについては、別の記事で詳しく紹介しています。
また、マイクロチップの安全性や登録の仕方についても、別の記事で詳しく紹介します。
まとめ
イングランドでは2024年から、原則としてすべての飼い猫へのマイクロチップ装着が義務化されています。それでもマイクロチップ未装着の猫が数多く保護され、保護活動の現場を圧迫しています。先に義務化したイングランドで起きていることは、日本がこれから制度を考えるうえでも参考になる事例だと思います。
制度を作るだけでは猫の問題は解決しない。
制度と飼い主の行動の両方があって、初めてマイクロチップが本来の役割を果たせるのではないでしょうか。


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