「猫と暮らしたいけれど、自分の年齢を考えると難しいかもしれない」
そう感じたことがある人は少なくないでしょう。近年は保護猫の譲渡条件が厳しくなり、高齢者や一人暮らしの人への譲渡を慎重に行う団体も増えています。理由は決して意地悪ではありません。猫は15年以上生きることも珍しくなく、20歳近くまで長生きすることもあります。そのため、
自分が入院したらどうなるのか
施設に入ることになったらどうなるのか
万が一、猫を残してしまったらどうなるのか
といった問題が出てきます。
保護団体が慎重になるのも理解できます。
しかし一方で、「年齢だけを理由に猫との暮らしを諦めなければならないのだろうか」と感じる人もいるでしょう。そんな中で注目されているのが、鳥取市が行っている「保護猫預かり制度」です。
保護猫預かり制度とは?
この制度は、一般的な保護猫の譲渡とは少し仕組みが異なります。最大の特徴は、猫の所有権を鳥取市が持ったまま、希望者が猫と暮らせることです。一般的な譲渡との違いを簡単にまとめると、次のようになります。
猫の所有権は飼い主へ移る
終生飼養が前提
飼えなくなった場合は飼い主側で対応を考える
鳥取市の保護猫預かり制度
猫の所有権は鳥取市に残る
預かりという形で猫と暮らす
飼育継続が難しくなった場合は保健所が引き取る
つまり、「もしもの時の受け皿を確保した状態で保護猫と暮らせる制度」と言えるでしょう。もちろん、預かりだから責任が軽いという意味ではありません。
フード代や猫砂代、医療費などは預かり主の負担ですし、日々の健康管理も必要です。あくまで「万が一に備えた仕組み」が用意されている制度です。
どんな人が対象になる?
この制度は特に次のような人にとって検討しやすい仕組みかもしれません。
年齢を理由に譲渡を諦めていた人
一人暮らしで将来に不安がある人
保護猫を迎えたいと思っている人
万が一の時の引き取り先を確保しておきたい人
猫と暮らしたい気持ちはあっても、将来への不安から踏み出せない人は意外と多いものです。そうした人にとって、この制度は新しい選択肢になりそうです。
なぜこの制度が必要なのか
保護猫活動では「終生飼養」が重視されています。最後まで責任を持って飼う。これはとても大切な考え方です。しかし現実には、その考え方だけでは解決できない場面もあります。例えば70代の人が保護猫を迎えたいと思った場合。現在は元気に生活していても、10年後、15年後のことまでは誰にも分かりません。だからといって、「高齢だから迎えられません」で終わってしまうと、猫と暮らしたい人と新しい家族を探している保護猫の双方にとって機会が失われてしまいます。そうした「迎えたい人」と「迎えられる猫」の間にある不安を、制度によって少しでも減らそうというのが、この取り組みの考え方です。
鳥取市の制度は、その間を埋めるための取り組みとも言えるでしょう。
猫にとってもメリットがある
この制度は人間だけのためのものではありません。保護された猫にとってもメリットがあります。保健所は命を守るための大切な施設ですが、本来は猫が長く暮らす場所ではありません。猫によっては、
落ち着いて眠れる場所がある
決まった人と暮らせる
家庭の中で過ごせる
といった環境の方が安心できる場合があります。
預かり制度によって家庭で暮らせる猫が増えれば、保護猫が家庭という落ち着いた環境で過ごせる機会も増えます。その結果として、保健所の負担軽減にもつながるでしょう。保護猫に新しい居場所を作るという意味でも、この制度には価値があると言えるでしょう。
課題はないのか?
もちろん、良いことばかりではありません。まず理解しておきたいのは、「預かり」という言葉から受ける印象ほど気軽な制度ではないことです。猫と暮らす以上、
毎日の世話
健康管理
通院
医療費の負担
脱走防止対策
といった責任は変わりません。また、猫との生活が長くなればなるほど愛着も生まれます。そのため、制度として引き取りが可能であっても、実際には簡単な話ではないでしょう。制度があるから安心、ではなく、しっかり飼育する覚悟は必要です。また、この制度を広げる上で気になる点もあります。それは、高齢の方の猫の飼育に対する考え方です。
うちの老齢の両親は猫を外に出さないということはあまり理解できないようですが、特に田舎の方ではそのような考えがいまだにあると思います。特に高齢の方はそうなのではないでしょうか。そういう部分もきちんとクリアできないと制度として導入するのは難しいかなと思います。
全国にも広がるのだろうか
日本では高齢化が進んでいます。それと同時に、保護猫の譲渡に関する課題も増えています。高齢だから譲渡できない。でも猫と暮らしたい。そんな悩みを抱える人は今後も増えていくかもしれません。
鳥取市の保護猫預かり制度がそのまま全国に広がるとは限りませんが、猫おばさん的には保護猫と人をつなぐ新しい方法として様々な自治体で試してみる価値はあると思います。特に人口減が激しい地方は猫を飼える人の人数も少ないわけで、受け入れる人数の母数を増やす必要がある状況だと思います。また、高齢の方も猫と過ごすことで健康に、そして心豊かな暮らしができる、WinWinな仕組みではないかと猫おばさん個人は思います。
まとめ
保護猫活動では、「最後まで責任を持って飼うこと」がとても大切にされています。だからこそ、高齢者への譲渡に慎重になる団体があるのも理解できます。しかし現実には、年齢だけでは測れない部分もあります。元気に暮らしている高齢者もいますし、家族を待っている保護猫もいます。
鳥取市の保護猫預かり制度は、そんな両者の間にある課題に向き合った取り組みです。猫を迎えるか諦めるか、その二択ではなく、別の選択肢を示した制度として、今後どのように広がっていくのか注目したいところです。

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