我が家のくものルーツ、そして猫おばさんも一時期住んでいたタイと猫に関するニュースです。タイにとって猫は、一般的なペットという以上に特別な文化的・歴史的意義を持つ存在です。古くは王宮で飼育され、王族の魂と結びつく聖なる動物として崇められてきました。
近年、タイ政府は、この歴史的背景を踏まえ、タイ原産の猫たちを国家の象徴、すなわち「国の遺産（National Heritage）」として正式に指定する検討を進めているそうです。この動きは、タイ独自の文化遺産としての猫種の保護と、その価値の国内外への再発信を目的としています。ずっと検討段階で終わるかもしれませんが（笑）タイ文化における猫の深い意義について解説します。
「国の遺産」指定の経緯と現在の状況
この国家的な象徴指定の検討は、2023年末から2024年初頭にかけてタイ内閣で公式に提起され、文化省が中心となって推進されています。
検討状況：最終決定はまだ
重要な点として、この記事の執筆時点（2025年11月）で、これらの猫たちが正式に「国獣」として施行・承認されたという最終決定の報告は確認されていません。さすが、アメージングタイランド！現在は、古文書の記述に基づき、タイの「文化遺産」として承認を受けるための検討段階にあります。
保護対象となる伝統猫（現存12種）
指定の議論の基になっているのはアユタヤ王朝時代の古文書『猫の詩集（Tamra Maew）』に記述された17種の縁起の良い猫ですが、現在、現存が確認され、保護プログラムの対象となっているのは主に以下の12種とされています。
シャムネコ (Wichien Maat)：青い瞳のポイントカラーが特徴。タイの旧国名「シャム（Siam）」を冠する。くもの先祖？かな。
コラット (Korat /Maew Si Sawat)：銀色の光沢を持つ青灰色。タイ東北部の現存する地名「コラート」を由来とし、「幸運を呼ぶ猫」として崇拝される。
カオ・マニー（Khao Manee）：全身が純白。タイ語の「カオ（ข้าว）」（ご飯・白米）と「マニー」（宝石）から「白い宝石」を意味する。猫おばさんが知ってる数少ないタイ語カオ！
ニララート（Nilarat）：黒色の猫。「ニラ」（青黒い宝石）＋「ラート」（宝玉）で「黒い宝玉」を意味する。
スパラーク (Supalak)：光沢のある赤茶色。純金のような猫。
【その他の伝統猫種】
コンジェ（Konja Cat）、ウィラーサ（Wilaas Cat）、サモンセート（Samonset Cat）、グラップウィチエン（Klaebwichien Cat）、タムトァンデーン（Tumtoandang Cat）、ボリスファット（Borisfat Cat）、マライ（Malet Cat）
伝統的なタイ猫の歴史的・保護的な意義
タイ猫が国家の象徴として再評価される背景には、単なる愛玩動物を超えた深い歴史的役割と、現代における「伝統的な血統の危機」があります。
王室との結びつきと信仰
コラット猫が雨雲と同じ青灰色の毛色を持つことから、雨乞いの儀式において神聖なシンボルとして担ぎ上げられ、雨を願う際に用いられてきました。また、シャムネコが王室の魂の依り代とされたように、これらの猫はタイの文化、信仰、そして王室の歴史に深く根ざしています。この歴史的・宗教的な特別な位置づけが、現代の「国家の象徴化」の根拠となっています。
オリジナル血統の保護が目的
国際的に有名なシャムネコ（サイアミーズ）は、19世紀以降に欧米で品種改良が進み、細長いボディやV字型の頭部を持つモダンな姿になりました。タイ政府が保護しようとしているのは、この改良によって失われつつある、古文書が示す伝統的な特徴を持つ、改良前の血統が残っている猫です。具体的には、現在のシャムネコとは異なり、より丸い顔立ちとずんぐりとした体型を持つのが、オリジナルのタイ猫の特徴とされています。この「国の遺産」指定は、遺伝的な純粋性を保ち、タイ独自の生物多様性を守るための、公的な保護プログラムを強化することを主な目的としています。
まとめ
タイ政府が進める伝統的なタイ猫の「国の遺産」指定は、タイの文化遺産としての価値を再評価し、未来へつなぐための国家的な試みです。我が家のくもは、モダンバージョンで伝統的なタイプではなかったんですね（笑）シャムがもともと丸顔とは知りませんでした。そういえば、猫おばさんはタイに居る時は野良猫観察をよくしてましたが、コラットっぽい猫様もいらっしゃったなぁと思いだしました。かつて王室に愛された伝統的な猫の血統を守るという第一歩を踏み出したタイ政府ですが、果たして猫たちが正式に「国獣」として承認される日がくるのか？見守りたいですね。
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