「動物保護先進国」 ドイツのペット関連法規について調べてみました

猫様との暮らし

ちょっと重い記事を書いた時、色々と調べていてドイツではペット関連の法律や税金等があることを知りました。せっかくなのでまとめておこうと思います。

ドイツは「動物保護先進国」として世界的に知られており、その背景には動物の生命や健康を守るための厳格かつ詳細な法規と、国民の根強い動物愛護精神があります。ドイツのペット関連法規は、単なる飼育ルールにとどまらず、動物と人間が尊重し合い、共生していくための哲学に基づいています。

1. 法の根幹:動物保護法(Tierschutzgesetz)

ドイツのペット関連法規の中心となるのが「動物保護法(Tierschutzgesetz)」です。この法律は、動物を人間と同じく命ある存在「共にある被造物(Mitgeschöpf)」と位置づけ、人間には動物を守る責任があると定めています。この哲学は、動物を単なる所有物として扱うことを否定し、その生存権と福祉を尊重するという強い意志を反映しています。

日本の法律では「物」として扱われているのと大きく違いますね。

主な規定と飼い主の義務

虐待・放棄の禁止: 合理的な理由なく動物に痛み、苦痛、または損害を与えることが厳しく禁じられています。これには、肉体的な暴力だけでなく、精神的な苦痛を与える行為も含まれます。違反者には、最高25,000ユーロの罰金や、悪質な場合は懲役刑が科せられることもあり、法律の厳格さが伺えます。

適切な飼育の義務: 飼い主には、動物の種や習性に合った環境を提供することが法的に義務付けられています。例えば…

十分な食事と水: 常に清潔な水と栄養バランスの取れた食事を与えること。

適切な住環境: 十分な広さと清潔さを保った住居を提供すること。

運動と交流: 犬には十分な散歩や運動をさせ、社会的な交流の機会を与えること。また、猫やウサギなど群れで生活する習性のある動物には、複数飼育が推奨されます。

医療ケアの提供: 病気や怪我をした際には、速やかに適切な獣医療を受けさせることが義務付けられています。痛みを放置することも虐待と見なされる可能性があります。

猫の多頭飼いを推奨!!!

おお、すごい。特に若い猫や活発な猫は、遊び相手やコミュニケーションを求めるため、一匹だけで飼われるとストレスを感じやすいと考えられています。そのため、ドイツでは猫の福祉の観点から、室内飼いをする場合は複数頭で飼育することが推奨されているそうです。もちろん必須ではなく、他の猫との交流を極端に嫌う個体や、高齢で静かに暮らしたい猫など、単頭飼育がその猫にとって最善と判断される場合はこの限りではないとのこと。

2. 飼い主の経済的責任:ペット税金(犬税)

ドイツにはペットに関する税金があります。これ、知ってました!しかし、これは「犬」を対象とした地方税であり、猫は対象外です。

犬税(Hundesteuer)

地方税としての位置づけ: ドイツのほぼすべての自治体で導入されている税金で、犬を飼うすべての人が対象となります。飼い主は居住地の自治体に犬を登録し、毎年支払う必要があります。

税額と目的: 税額は自治体によって大きく異なり、一般的には年間100ユーロから200ユーロ程度です。この税金の主な目的は、犬の糞の処理や公共の場所の清掃費用、ドッグランなどの整備費用といった、犬の飼育が社会にもたらすコストを補填することにあります。

多頭飼育と危険犬種: 犬の飼育頭数が増えるほど税額が高くなる仕組みです。また、自治体によっては、闘犬など危険犬種に指定されている犬に対して、さらに高額な税金が課せられることもあり、飼い主の責任を強く促しています。

猫には税金がかからない理由: 猫は一般的に家の中で飼われることが多く、犬ほど公共の場に糞を残したり、人や他の動物に危害を加えたりするリスクが少ないと見なされているため、犬のような一律の税金は課されていません。合理的ですね。

3. 猫の飼育とその他の法規

猫には一律の税金はかかりませんが、猫の飼育にも責任が求められます。

去勢・避妊の義務化: 野良猫の増加や野生動物への影響といった社会問題への対策として、一部の自治体では、飼い猫に対して去勢・避妊手術を義務付ける条例を導入しています。これは、猫も人間社会の一員として、その行動を適切に管理する必要があるというドイツの考え方を反映しています。ドイツっぽいですね。

犬の散歩に関するルール: ドイツでは、多くの公共の場所で犬にリードをつけさせることが義務付けられています(Leinenzwang)。これも自治体によってルールが異なりますが、犬の安全と周囲の人々の安心を守るための重要なルールです。

ブリーダーやペットショップへの規制: 商業的な繁殖や販売に対しても、厳しい基準が設けられています。動物保護法に基づき、ブリーダーは適切な飼育環境を整え、健康な動物を繁殖させる責任があります。

まとめ

ドイツのペット関連法規は、動物を「共にある被造物」として尊重する哲学に基づき、飼い主に動物を飼うことへの責任を強く求めます。犬税や去勢・避妊の義務化は、その責任を具体的に形にしたものです。ドイツの法制度がパーフェクトだとは言いませんが、非常に参考になる仕組みだと思います。法律にしなくてもわかるよね、とは思いますが、性善説が通じない世の中になっているのも事実で、動物を飼うことへの責任を法律として明確化するのは良いことではないかなと思いました。

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