猫の交通事故を報告義務に?イギリスで法改正を求める女性の挑戦

ねこニュース

イギリスで、ある女性が愛猫の死をきっかけに法律改正を求め続けているというニュースが注目されています。

問題になっているのは、交通事故で動物が死傷した場合の「報告義務」です。現在のイギリスの法律では、犬や家畜が事故に遭った場合にはドライバーに警察への報告義務があります。しかし、猫についてはその対象外となっています。
※以前、「猫をはねても報告義務なし」―イギリス―BBC報道 ←こちらで深堀してますので、良かったらみてくださいね。

この“空白”を埋めるために、長年活動を続けているのがMandy Hobbisさんです。(BBCのニュース記事

愛猫の死がすべての始まりだった

Mandyさんがこの問題に向き合うきっかけとなったのは、10年以上前に起きた出来事でした。彼女の飼い猫「Snowy」が交通事故に遭い、そのまま路上に放置されたまま亡くなっていたのです。当初は信じられず、「別の猫ではないか」とさえ思ったといいます。しかし現実は変わらず、Snowyは誰にも報告されることなく、適切な対応もされないまま亡くなっていました。その経験は彼女にとって大きな衝撃でした。猫は単なる「ペット」ではなく、家族の一員です。しかし法律上の扱いは十分とは言えない現状があることを、彼女は身をもって知ることになります。さらに数年後、彼女はもう一匹の猫も同じように交通事故で失うことになります。この出来事が決定的となり、彼女は動物保護活動に深く関わるようになりました。

「Cats Matter」設立とキャンペーン活動

Mandyさんは、同じ経験をした人々とともに「Cats Matter」という団体を設立しました。この団体の目的はシンプルです。

交通事故にあった猫についても、ドライバーに報告義務を課すべきだという法改正を求めること。

イギリスでは犬や家畜が道路で事故に遭った場合、ドライバーは警察へ報告する義務がありますが、猫は対象外です。しかし統計上、猫はイギリスで犬に次いで多く飼育されているペットであり、この扱いの差には疑問の声も上がっています。Cats Matterの活動には、動物福祉団体のRSPCAやPDSAなども支持を表明しています。

「放置される事故」が生む現実

動物が交通事故に遭った際、必ずしも報告されるわけではありません。実際には、事故後にそのまま放置されてしまうケースも多く、どれほどの事故が起きているのか正確には把握されていません。動物福祉団体によると、保険会社の推計ではイギリスでは年間約23万匹の猫が交通事故に遭っているとされています。一方で、動物病院に運ばれるケースはその一部に過ぎず、実態はさらに多い可能性があると指摘されています。

法改正を求める動きと政治の壁

Cats Matterはこれまで、猫を交通事故報告義務の対象に含めるよう政府に働きかけてきました。しかし政府側は「現時点では法改正の予定はない」と回答しています。一方で、市民の間では支持も広がっており、オンライン署名は10万件を超え、議会での議論の対象となる水準に達しました。それでも、具体的な法改正にはまだ至っていません。Mandyさんは「言葉では賛同されても、実際の行動が伴っていない」と語り、制度の古さそのものに問題があると指摘しています。現行の法律は1988年に制定されたもので、当時の社会背景に基づいているため、現代のペット事情には合っていないという主張です。

動物医療現場の声

動物医療の現場からも、この問題には強い関心が寄せられています。動物保護団体PDSAは、交通事故に遭った猫の治療を年間数千件単位で行っているとしています。骨折などの重傷を負うケースも多いものの、適切な治療を受ければ回復する可能性もあるといいます。しかし現実には、事故後すぐに病院へ運ばれないケースも多く、救える命が救われていない状況も指摘されています。

それでも活動を続ける理由

Mandyさんは、過去に2匹の猫を同じように失った経験から、「二度と同じ悲しみを繰り返したくない」という思いで活動を続けています。現在は猫用フェンスを設置し、飼い猫の安全対策も徹底しているといいます。個人の悲しみから始まった活動は、今では国の制度に影響を与える可能性を持つ社会運動へと広がっています。

まとめ

一人の飼い主の体験から始まった小さな声が、署名や団体活動を通じて社会に広がりつつあることは、イギリスの動物福祉の在り方そのものを問い直す動きとも言えます。日本では状況が違いますが、このような方法で猫に関する法律を変えようとすることができるということは非常に参考になります。猫を単なる“ペット”ではなく“家族”として扱う社会において、法律がその現実に追いつくのかどうか、今後の議論が注目されます。

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